ACG Villa Kyoto Vol. 018
「包む光 − 触れる影」 ジュリアン・ステア、大舩真言
ACG Villa Kyotoではジュリアン・ステアと大舩真言の二人展を開催します。
ジュリアン・ステア(1955- )はイギリス・ブリストル生まれの英国を代表する現代陶芸家。本展に出品のSomatic Jar(身体型壺)と命題された作品群は、本年はじめに益子で滞在制作され、益子陶芸美術館の敷地内にある旧濱田庄司邸にて3月〜4月に展示された作品より選ばれました。作品タイトルが示す通り、ジュリアンが制作しました壺は人体に通じ、それらが並びますと家族や社会という人間のコミュニティがそこにあり、会話が聞こえてくるようです。
大舩真言(1977-)は岩絵具・自然顔料にこだわり、細心の集中力で絵具層を重ねる制作プロセスから生まれる表現によって、深い精神性を秘めた時空をつくりだす美術家です。京都・上賀茂神社、下鴨神社での展示や、能の舞台美術・演出を担当するなど、絵画制作に止まらない経験を重ねてきました。また海外での発表も多く、昨秋には南フランスのシャトー・ラ・コストでの個展開催など、注目すべき発表活動が続いています。
アートコートギャラリーの京都北白川の紹介予約制ギャラリー、ACG Villa Kyotoをジュリアンは2019年に続き、今春も訪ねてくれました。一方、滋賀県東近江にスタジオを構える大舩はこの5年ほどの間に幾度も空間との対話を続けてきました。ACG Villa Kyotoは建築家藤井厚二がその晩年近くに設計した、モダンな和の住居建築です。京都の四季折々の光に包まれる邸は、建築から90年を経た現代の私たちにとりましても、心を溶かすような美意識に満ちた空間です。そのスペースと2作家の作品がどのように響き合いますか、ぜひご覧ください。